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川辺のレモン

映画・ドラマ・本の感想など。ネタばれあり

日記が続かない人へ/『日記の魔力』感想

本のレビュー

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2年前、過労で心身の調子を崩した時から手書きで日記をつけ始めた。
私の場合は「モーニング・ページ」という朝起きて思いつくことを3ページかきなぐる、というメソッドからはじめたので、内容は感情の吐き出しや整理が中心なのだが、徐々に形式を変えて今も毎日書き続けている。
しかしやりたいことが増えて忙しくなってくると「日記をやめてこの時間を他の行動にあてるべきでは…」という迷いが定期的にやってくる。ちょうどこのブログをはじめた最近もこの波がやってきていたので、Kindleでこの本のタイトルにひかれた。

あらすじ

日記をつけはじめてみたものの、なぜか続かずに挫折する。
そんな経験をお持ちの方にオススメなのが本書。
日記の書き方、続け方、そして、その効果的な活用法のすべてを
一冊の本にまとめたものです。
著者は日記歴30年の自称「日記の名人」であり、
また駿台予備学校のカリスマ名物講師として有名な表三郎先生。
「日記は人生のサポーター」が口ぐせで、人に会うと、
つい日記を書くことを勧めてしまう「日記の伝道師」でもあります。
この本を読み終えたその日から、日記をつけたくなる……。
そんな魔力を秘めた本です。
 
【目次より】
●日記をつけると「使える時間」が増えるのはなぜ?
●過去の思い出ではなく、未来をつくるために書く
●感想を書くのはやめるにかぎる
●マイナスはダメ、プラスの言葉を使え!
●京大式カード日記からパソコン日記へ
●日々の細かな出来事こそ、書き記す価値がある
●「場所」は記憶を呼び出す「カギ」である
●日記をつけると「記憶力」がよくなるのはなぜか
●「発想」ではなく、「着想」を記録する
●「目標を紙に書くと実現する」は本当か
●「将来の宣言」をどんどん書こう
●なぜ読み返すことが重要なのか
●元気がないときほど日記を読むべき理由
●日記をパソコンでつけると脳が軽くなる
●「問いのプール」はつながっている
●答えはすべて自分の中にある ほか

ネタばれ感想

日記をつけることで等身大の自分が見えてきて、自己管理を含めた未来の指針に役立つ、とか「問い」を考え抜くのに有効、というのには共感した。「問い」というのが唐突で哲学的な話が急に始まるので困惑してしまうが、ようは自分の考えを深めることができる、ということだろう。
実際、ネットで情報収集してSNSで発信して…という日常を送っていると、ひとつのことに自分ならではの意見を持つ前にまた別の話題についての情報が入ってきてしまい、ひとりでじっくり考える時間が減ってしまう。長文で固い文章を読むのが苦手になって、自分の感情を言語化するのも億劫になって、なんとなく空気で判断して自他の価値をはかる、短気で反射的な生活。別に誰かを批判する意図はなく、自分の経験からそうなりがちだと思っていたが、日記を書くようになってからは多少改善されたと実感している。
私は映画や本が好きで他人の感想を読むのも大好きだけど、まず日記に自分の印象や感想を書いてから他人と話し合ったりネットで検索するようにしている。そうでないと「大勢の人が言っている意見」が正しいのだと思い込んでしまいそうになるから。(このブログで批評的な作品論ではなくごくごく個人的な感想を書いているのもそういう理由。多数派の意見とは違っても色々な見方があるほうがネット上も楽しいだろうから。)
他には、夜ではなく翌朝書く、とか具体的な計画を肯定的に書くようにしている、という所も自分と共通点があった。
しかし「問い」は他者のプールにつながっている(=自分ひとりの考えが、つきつめれば大きな普遍性にたどり着く)という話には少し疑問。それは日記を書かずとも、創作とかスポーツとかふつうの仕事や家事でも、何かを懸命にやり続けていけば大きな普遍性に触れる瞬間というのがあると思うから。
ともかく日記の有用性について熱く語られた本だった。日記を書いたことのない人がこれを読んでどう感じるかはわからないが、「書くのやめよっかな…」という迷いにとらわれがちな私のような人は、続ける気になれる本だと思う。

参考リンク